『福島夢雑貨店』放送リスト

テレビユー福島(TUF)『福島夢雑貨店』

 

1993年4月3日~1994年3月26日にテレビユー福島(TUF)で放送された週末の情報番組。放送時間は毎週土曜日16時30分~17時。

 

鈴木元気の悠遊ふくしま』に代わって登場した、土曜日夕方の情報番組である。放送は『悠遊ふくしま』より30分繰り上がって16時30分からに(17時台はアニメ『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』の再放送と、『電光超人グリッドマン』の同時ネットに変更)。番組の尺は30分に縮小した。

この番組は、2023年8月現在、明らかになっている公式情報がほぼ無い。TUFの社史『TUF10年のあゆみ』は、この番組が始まって間もない時期に編纂されたものであるため、『福島夢雑貨店』に関する記述は、巻末資料の「主要自社制作レギュラー番組一覧」の中に記された番組名のみである。

下記放送リストは、例によって福島民報ラ・テ欄に記載されている情報で、具体的な内容を知れる資料は、これのみと言っていい(福島県にはもう一つ、福島民友新聞という県紙が存在しているが、ラ・テ欄の記載内容は民報とほぼ相違ないと思われるので、ひとまずここでは措く)。

新聞から読み取れる番組の特徴は、上半期と下半期で大きく内容が異なるという点である。

上半期(1993年4~9月)は、若手アナウンサーや一般の視聴者を主役にしたチャレンジ系の企画が多い。『探偵!ナイトスクープ』(朝日放送)を思わせる「現代版わらしべ長者」や「友達の輪」といった調査もの、スポーツや歌で夢をつかもうとする少年少女を応援するものなど、情報番組というよりバラエティ番組といった雰囲気である。

下半期(1993年10月~1994年3月)になると、一転して、何らかのテーマに関するベストテンを紹介するランキング情報番組に変貌している。この時期はラ・テ欄の「見どころ」で内容が紹介されることはなく、上半期のようなバラエティ的企画が存続したのかどうか、資料からはわからない。1994年1月1日放送分が「初夢対決」となっているので、それらが全くなくなってしまったわけでもないようだが、メインはあくまでもベストテン企画だったようだ。

いずれの時期を見ても、前番組『鈴木元気の悠遊ふくしま』がやや中高年層向けの内容で制作されていたのに対して、老若男女を問わず幅広い人々へと向けた内容になっている。必ずしも若年層にだけ向けた番組ではないことは、上半期で言えばサラリーマンやお年寄りを主役にした回があること、下半期で言えば健康茶や懐かしの卒業の歌を取り上げた回があることからもわかる。

出演者は、TUFアナウンサーの水津邦治、皆藤慎太郎、外岡いつ美(皆藤・外岡は2023年現在退社)。いずれも当時入社2~3年目の若手アナウンサーである。水津と皆藤に関しては、下記に引用した福島民報ラ・テ欄からも出演が確認できるが、外岡については、雑誌『財界ふくしま』に掲載された番組の宣伝広告でそれが確認できる。

なお、『財界ふくしま』の番宣広告を見る限り、皆藤は上半期のみの出演で、下半期は水津と外岡の2人が引き続き出演した模様。

 

第1回:1993年4月3日「人情求めて無一文ひとり旅」

福島に関すること、夢のある話題などを追って、アナウンサーが取材に駆け回る。一回目は「福島に人情は残っているか!?」と題し皆藤慎太郎アナがヒッチハイクで無銭旅行に挑戦。

第2回:1993年4月10日「(表記なし)」

「帰りが遅い」「すぐ怒る」などお父さんに対する不満はさまざま。そんな不満を持った子供たちが働くお父さんをウオッチング。

第3回:1993年4月17日「貴重映像発見・30年前の福島」

昭和二十~三十年代、福島の映画館で上映されていたニュース映画を紹介。当時、話題になった人たちを捜しだし、激動の昭和を振り返る。

第4回:1993年4月24日「午後1番に目玉焼・番組ウラ話」

第5回:1993年5月1日「悲鳴絶叫・観光地美化大作戦」

決死の観光地美化大作戦。薄磯海岸の海底に沈むゴミのサルベージや、霞ヶ城の鯱(しゃちほこ)磨きなど、水津アナが危険覚悟でチャレンジする。

第6回:1993年5月8日「サッカー少年・Jリーグ挑戦」

第7回:1993年5月15日「感激体験・夢のJリーグ特訓」

Jリーグの人気チーム、清水エスパルスの特訓を受けに小学生が静岡へ。プロサッカー選手の強力なシュート。チビッ子たちはゴールを守れるか。

第8回:1993年5月22日(14時~14時30分)「現代版わらしべ長者に挑戦」

一本のわらしべが元手となって長者になるという昔話「わらしべ長者」を現代の福島で再現実験。リポーターは果たして長者になれるか。

第9回:1993年5月29日(17時~17時30分)「視聴率アップ大作戦」

視聴率を上げようと、三人の若手アナウンサーは直接行動に出た。番組PR大作戦と銘打ったこのアイデア。果たして成功するか。

第10回:1993年6月5日「プロ野球ボールボーイに挑戦」

第11回:1993年6月12日「心臓ドキドキ野球少年夢実現」

第12回:1993年6月19日「ボディコン田植え▷ミッキー」

東京のディスコで踊りに興じるボディコンギャルとフィリピンから来たニューハーフが、熱塩加納村で田植えを体験。

第13回:1993年6月26日「夢の空中ブランコに挑戦」

福島大学の学生二人が、仙台で開かれているサーカスで空中ブランコに挑戦。人間が最も恐怖を感じるという十二メートルの高さで繰り広げられる空中芸に、決死の覚悟で挑戦する姿を追う。

第14回:1993年7月3日「サーカス挑戦・いよいよ本番」

第15回:1993年7月10日「世間は狭い?日本人総家族?」

世にいう「世間は狭い」は本当か。何の縁もない北海道の会社員と福島市の女子中学生。番組では、北海道の会社員をスタートに、友人、知人を訪ね歩き、福島の中学生を目指す。いったい何人の知人を介せば二人は一本の線で結ばれるのか?

第16回:1993年7月17日「友達の輪・完結なるか福島編」

全く見ず知らずの北海道の会社員と福島の中学生が、いったい何人の知り合いを介していけば二人はつながるのだろうか?前回は仙台までの様子を紹介したが、今回はいよいよ福島へ。

第17回:1993年7月24日「奇想天外・雪だるまのお中元」

奇想天外!真夏に突如出現した雪だるま。桧枝岐村に残っている本物の雪をトラックに積み込み、途中溶け始める雪と悪戦苦闘しながら福島市内の家庭に届けた。

庭に突如現れた季節はずれの雪だるまに、学校から戻ってきた子供たちの反応はいかに。

第18回:1993年7月31日「音痴は直る?市川昭介VS音痴」

音痴を自他ともに認める福島市のサラリーマンが、県出身の作曲家、市川昭介さんに一日弟子入り。果たして音痴は直るのか。

第19回:1993年8月7日(15時30分~16時)「市街地に突如現れた露天ぶろ」

露天ぶろでストレス解消。番組では、福島市の繁華街に露天ぶろを設置。夏バテ気味のサラリーマンを無料招待して、生ビール飲み放題、焼き鳥食べ放題の大サービス作戦を決行した。

第20回:1993年8月14日「露天ぶろパラダイスパートⅡ」

あぜん!驚き!市街地に突然現れた露天ぶろパラダイス。番組では、福島市の飲み屋街に露天ぶろを作った。サラリーマンにストレスを解消してもらおうと決行されたこの大作戦。先週にひき続き、その模様を紹介する。

第21回:1993年8月21日「発表・"夢雑貨FC"結成」

福島夢雑貨店が、ついにちびっこサッカーチームを結成。その名もズバリ「夢雑貨FC」。そして監督は、なんと「とんねるず」の木梨憲武率いる「FCのりの」の名ゴールキーパー田口光久。全日本で鳴らした田口監督のもと、日本一を目指して霊山町で合宿を行う。

第22回:1993年8月28日「霊山で合宿ちびっこサッカー」

第23回:1993年9月4日「長崎歌謡祭・県内予選大会」

「番組からスターを誕生させよう!」の合言葉のもと、アイドル歌手を目指す浪江町の女子高校生を取材。彼女を新人歌手の登竜門「長崎歌謡祭」に出場させるまでの県内予選大会の奮戦記をおくる。

第24回:1993年9月11日「長崎歌謡祭県出身スター誕生」

新人歌手の登竜門「長崎歌謡祭」が長崎県ハウステンボスで行われた。

番組では、本県代表として出場した浪江町の女子高校生に同行し、優勝へ向けて大作戦を敢行した。

第25回:1993年9月18日「お年寄りとデートをしよう」

敬老の日にちなんで、福島市内に住むお年寄りに大サービス作戦を敢行。いたれり尽くせりの日帰り旅行への招待や、念願のバスガイド体験などのサービスを受けて、主人公のお年寄りは涙を流しての大感激。お年寄りたちの一日をリポート。

第26回:1993年9月25日「必見・夢企画上半期総集編」

駆け出しアナウンサー三人の破天荒なリポートを上半期分まとめて紹介する。

第27回:1993年10月2日「新装開店・テレビでDJ?」

第28回:1993年10月9日(15時~15時30分)「あなたの夢を教えて下さい」

第29回:1993年10月16日「テレビDJ風変わりランキング」

第30回:1993年10月23日「テレビDJ見せますベスト10」

第31回:1993年10月30日「大好評何でも面白ベスト10」

第32回:1993年11月6日「テレビDJおもちゃベスト10」

第33回:1993年11月13日「テレビDJ僕の本棚ベスト10」

第34回:1993年11月20日「テレビDJ'94カレンダー10」

第35回:1993年11月27日「さてはて当たるか?宝くじ」

第36回:1993年12月4日「これだ今年のXマスケーキ」

第37回:1993年12月11日「高校生のお気に入り10曲」

第38回:1993年12月18日「決まり・Xマスプレゼント」

第39回:1993年12月25日「嬉しい楽しいクリスマス」

第40回:1994年1月1日(17時~17時30分)「アントラーズJrと初夢対決」

第41回:1994年1月8日「DJ・あなたのお便り紹介」

第42回:1994年1月15日(15時30分~16時)「アニメCDベスト10」

第43回:1994年1月22日「おもしろ目覚まし時計ベスト10」

第44回:1994年1月29日「テレビDJ犬の絵本ベスト10」

第45回:1994年2月5日「これは必見・健康茶ベスト10」

第46回:1994年2月12日「バレンタインチョコ大特集」

第47回:1994年2月19日(17時~17時30分)「マル得必見100円均一ベスト10」

第48回:1994年2月26日「懐かしの卒業の歌ベスト10」

第49回:1994年3月5日「スナック菓子人気ベスト10」

第50回:1994年3月12日「新生活マル得情報ベスト10」

第51回:1994年3月19日「必見何でもおもしろベスト10」

第52回(最終回):1994年3月26日「あなたのおハガキベスト10」

 

【備考】

第4回にある「午後1番」はラジオ福島rfc)で放送されていた『rfcワイド 午後一番』、「目玉焼」は福島放送(KFB)で放送されていた『あいうえお天気目玉焼Lサイズ』のことである。前年の『悠遊ふくしま』での企画に続いて、他局の番組とコラボレーションした内容で放送したようだが、詳細は資料からはわからない。

第18回には福島県郡山市出身の作曲家・市川昭介が出演しているが、『福島夢雑貨店』が終了した後のTUF土曜16時30分枠では、その市川が司会を務めた音楽番組『平成歌謡塾』が放送されている(1994年4月2日開始)。

第21回の内容に登場する「FCのりの」は、日本テレビとんねるずの生でダラダラいかせて!!』の中で木梨憲武とんねるず)が結成したフットサルチームのこと。ちなみに、『福島夢雑貨店』と同日にスタートし、『夢雑貨店』の直後の時間帯に放送されていた福島中央テレビ(FCT)の情報番組『輝いて…土曜日』には、その『生ダラ』の企画でとんねるずが出演したことがある。

 

『福島夢雑貨店』終了後、水津と外岡は新たにスタートした平日午前中の情報番組『マル得ふくしま生放送』(1994年4月4日開始、月~金曜10時55分~11時15分)の初代司会となった。

『夢雑貨店』の第47・50回に「マル得」の文言があったり、『マル得ふくしま』初期のコーナーに「TUF編成部問い合わせベスト5」があったりするなど、『夢雑貨店』下半期の内容と『マル得ふくしま』初期の内容には相通じるものがある。『マル得ふくしま』は『夢雑貨店』を発展させた番組だと言っても、大外しではないのだろう。

ちなみに、『財界ふくしま』に掲載された『マル得ふくしま生放送』の番宣広告を見ると、初期の『マル得ふくしま』のスタジオセットも、『福島夢雑貨店』のセットを流用したもののようである。

参考として、以下に『マル得ふくしま生放送』の放送第1週目のラ・テ欄の記述を引用しておく。

 

第1回:1994年4月4日「産直・ふるさと自慢 ほか」

近所のお店のお買い得情報など、これまで折り込みチラシや口コミの世界でのみ伝えられていたリアルな情報を、テレビメディアの同時性とローカル局の限定地域性という二つの特性を生かして、ストレート、そして刺激的に伝える。

第2回:1994年4月5日「問い合わせベスト5」

県内小売店のお買い得情報を紹介する「マル得!FAX勝負」、そして先週一週間TUFに寄せられた視聴者からの問い合わせを紹介する「TUF編成問い合わせベスト5」をおくる。

第3回:1994年4月6日「あしたの折り込み広告 ほか」

木、金曜日に配られる折り込み広告を紹介する「一足お先にあしたの折り込み広告」をおくる。

第4回:1994年4月7日「▷テレビ公募ガイド ほか」

最近人気を呼んでいる全国の公募情報を紹介する「マル得!テレビ公募ガイド」のコーナーなどおくる。

第5回:1994年4月8日「▷こちらスポニチ編集部 ほか」

県内小売店のお買い得情報を紹介する「マル得!FAX勝負」のコーナーなどをおくる。

 

【参考文献】

・『福島民報』朝刊各号(国立国会図書館東京本館所蔵マイクロフィルム

・『TUF10年のあゆみ』(1993年、テレビユー福島

・『財界ふくしま』第22巻第8号(1993年7月、株式会社財界)

・『財界ふくしま』第23巻第1号(1993年12月、株式会社財界)

・『財界ふくしま』第23巻第8号(1994年7月、株式会社財界)

 

【2023年8月4日公開】

【2023年8月10日加筆】