『金曜日はFLYデイ』放送リスト

テレビユー福島(TUF)『金曜日はFLYデイ』

 

1984年10月12日~1985年3月29日にテレビユー福島(TUF)で放送された深夜の若者向け情報番組。放送時間は毎週金曜日の23時35分~24時05分。

司会は根本光晴。丸大食品の「わんぱくでもいい、たくましく育ってほしい」のCMをはじめ、数多くのCMを監督したCMディレクターである。この当時は、コピーライターの糸井重里を司会に起用したNHKの若者向け番組『YOU』が人気を博しており、CMディレクターである根本の起用も、そうした流行りに乗ったものだろう。また、根本は東京出身であるが、戦時中は現在のいわき市疎開していたといい、この福島県との縁も起用された理由のひとつと思われる。

前年の1983年12月に開局したTUFは、この年、一挙に5本の自社制作番組をスタートさせている。まず4月には月曜~金曜14時55分の『TUFニュース』と日曜深夜の音楽番組『TUFサウンドピーチ』、次いで6月には月曜~金曜の5分間の帯番組『街角からこんにちは』、そして10月には土曜昼の情報番組『ウィークエンド・ユー』とこの『金曜日はFLYデイ』という具合である。

先発局に負けてなるものか。TUFのイメージをなんとしても視聴者に浸透させなければ―――そんな意欲に燃えていたのだろう。アナウンサー以外の社員も番組に出演させるなど、社を挙げて番組づくりに取り組んだ。

しかし、これだけの自社制作番組(この5本以外にも、開局以来放送されていた夕方のワイドニュース番組『ワイドユー福島』や昼の天気情報番組があった)を支えきる能力は、開局から1年余りのTUFにはなかった。熱意だけでやりくりするには限界があったのだ。

1985年3月をもって、『金曜日はFLYデイ』は早々に打ち切られることとなった。深夜の若者向けの番組は『サウンドピーチ』もあったことから、どちらか1つに絞るべきだと判断されたのだろう。また、TUF内部の人物が司会を務めていた他の番組と異なり、外部から司会者を起用していたことも、かかる費用の面で問題となったのかもしれない。代わって土曜昼の『ウィークエンド・ユー』の放送時間が拡大され、『金曜日はFLYデイ』にかけられていた労力はこちらに振り向けられることとなった。

 

TUFが2023年現在までに唯一発行している社史『TUF10年のあゆみ』では、『金曜日はFLYデイ』についてはほんのわずかに触れられているのみで、具体的な内容を知ることはできない。実体を知るには、当時の新聞にラ・テ欄に頼るほか無い。

幸いなことに、放送当時の『福島民報』の朝刊ラ・テ欄には、多くの回で見どころが記載されていた。これらを眺めると、前述のNHK『YOU』を思わせるトーク企画あり、流行を取り上げたVTRコーナーありと、一言で言えば「この時期によくありそうな若者向け深夜番組」だという感想を抱く。

また、音楽情報コーナーの存在は『サウンドピーチ』と内容が重なってしまっている。勿論取り上げ方は異なっていたのだろうが、これでは確かに、先に述べたような「『サウンドピーチ』とどちらか1つに絞るべきと判断されたのだろう」という推測も、さほどかけ離れた想像ではないように思われる。

かと言って、この番組が存在した意味がまったくなかったわけではないだろう。この番組での経験がその後の番組制作において活きたところは多少なりともあっただろうし、何より当時の福島県内のテレビ放送局には、このような完全に若者に向けた番組はまだ存在していなかった。結果はともあれ、そこに挑んだことは十分評価に値するはずだ。

 

第1回:1984年10月12日

第2回:1984年10月26日「▷情報コーナーほか」

第3回:1984年11月2日「▷情報コーナーほか」

第4回:1984年11月9日「▷情報パート1ほか」

第5回:1984年11月16日「▷情報パート1ほか」

情報パート1では最近、若者に人気のある街・代官山のお店を紹介。トークは「アイ・ラブ・FUKUSHIMA」と題しておくる。

第6回:1984年11月23日「▷男の為のデート講座」

今回は初の郡山からの放送。VTRコーナーでは「男のためのデート講座」と題してデート中のマナーなど手ほどきする。フライディストークは県内百人の独身OLや女子大生にアンケートした「理想の結婚相手」をもとに激論する。

第7回:1984年11月30日「▷特集”ゴジラリアン”」

このたび、あのゴジラが三十年ぶりに銀幕復活! というわけで全編ゴジラ特集。おもしろミニドラマ「ゴジラ教徒の暗躍」、トークテーマは「ゴジラ大好き!」、音楽情報は「ゴジラ」という徹底ぶり。

第8回:1984年12月7日「▷車大好き!」

ゲストに過去GC二回優勝など数々の栄光の記録を持つレーサー長谷見昌弘さんを迎える。トークテーマは「車こそわが命」と題して長谷見さんの車に対する情熱を語る。

またリポーターのノンコが四輪サーキット走行会にチャレンジした模様を送る。

第9回:1984年12月14日「▷忘年会パーティ情報」

大人にはどうみられてもいいけど、同世代にどうみられてるかは、自分の存在自体が問われるみたいで気になる。そこで、若者の大好きな「若者論」がトークテーマ。

第10回:1984年12月21日「クリスマス特集」

きょうは一足早いクリスマス特集。耶麻郡磐梯町七ツ森のペンション、バードランドからの三十分。スポーツコーナーは雉子波紀子がスキーを初体験。音楽情報はワム!の「ラストクリスマス」。

お相手は根本光晴、平野久美子、石森一枝。

第11回:1984年12月28日(24時39分~25時39分)「▷アマチュアっちゃう」

マチュアスタッフが加わって年末の金フラは六十分のスペシャル版。この一年、なーんにもいいことがなかったとお嘆きのあなたのために「この一年を悔いる!!」がトークテーマ。音楽情報では、福島のアマ・バンド「モット・ザ・デモリアルゼーション」を紹介。素人VTRコーナーも、もちろんある。

第12回:1985年1月4日「お正月大好き!」

第13回:1985年1月11日「男のメイクアップ」根本光晴、平野久美子

賛否両論!最近注目を集めだしているのが男のメイクアップ。さっそく紹介。チャレンジスキー第三弾は雉子波紀子恐怖の体験。音楽情報はジュリアン・レノンで「バロッテ」。

第14回:1985年1月18日「▷ビデオバー▷女の下着」

TUF1スタからの放送。

情報コーナーでは、仙台のビデオバーからのホットな話題を紹介。VTRコーナーは、女性の下着を特集する。ゲストはチョコレートリップス。ファンキーなサウンドを披露する。

第15回:1985年1月25日「バガヤロ男は嫌いだ」チョコレートリップス

今週もチョコレートリップスが登場する。

また最新情報はTOKIOのキャンパスで大はやりの「北斗の拳ごっこを紹介する。

第16回:1985年2月1日「▷トーク合戦「一期一会」」

昭和元年に生まれた赤ちゃんは来年六十歳になる。十年一日の如しといわれるように、若者の前途には多難の道が迫っている。「十年前に何を考えていたっけ、十年後に何を考えているんだろう」そんな疑問を吹き飛ばす夢とロマンのトーク合戦。今週の金フラは若者たちと一期一会を考えていく。

第17回:1985年2月8日「やってきましたSt.バレンタイン」

やってきました今年もバレンタインシーズン。女の子にとってどんな日? チョコレートをもらえない男の子の悲哀は? バレンタインデーをめぐる男と女の心情がほとばしるトークコーナーやチョコレート情報などお届けする。

第18回:1985年2月15日「出張トーク・郡山の逆襲」

福島市にあるビューティーサロン森では、三百種類のヘアスタイルをモニターの前で自由に選択できる。このモニターを使って、福島市で流行のヘアスタイルベスト3を紹介する。また、出張トークは「郡山の逆襲」。

第19回:1985年2月22日「ブレイクダンスIN福島」世之介ほか

カゼと受験をぶっ飛ばす今夜もドタバタ三十分。

情報コーナーは、ひと月ぶりに仙台情報。ディスコ「マハラジャ」を紹介する。またここで登場する世之介さんをスタジオに迎え、トークにも参加いただく。VTRコーナーは福島初の試み。雉子波紀子が、なんとストリートダンサーに!福島市歩行者天国ブレイクダンスを披露する。ご期待を!!

第20回:1985年3月1日「おひなまつり特集」

三月三日はひなまつり、スタジオにもおひな様を飾り、華やいだ気分。幼いころのおひなまつりの思い出のトークコーナー。また、今週の雉子波紀子は十二単に挑戦!礼法小笠原流の宗家宅に伺い、高価な衣装を身につける。

第21回:1985年3月8日(24時05分~24時35分)「思い出の卒業写真」

心に残る思い出の卒業写真。ユーミンのヒット曲「卒業写真」にのせて福島の高校卒業アルバムを堂々公開! スタジオでは、福大生が、卒業記念に「熱海殺人事件」自慢のシーンをパフォーマンス。四年間の学生生活をちょっぴり反省! さらに、ミュージカルに挑む福島の劇団「青い鳥」のメンバーが、新たな挑戦への意気込み、抱負を語る。

第22回:1985年3月15日「今夜、SF三本立て!」

「2010年」「砂の惑星」「ネバーエンディングストーリー」と、この三月に公開されるSF映画はどれも期待モノ。そこで、今夜の金フラは全編SF特集。三本それぞれちょっとずつのぞいてみよう。SFの魅力のひとつはやはりSFX、特撮である。VTRコーナーでは、SFX・スペシャルメイキャップを手とり足とりHOW TOする。

第23回:1985年3月22日「UFO特集」

最終回:1985年3月29日「トーク・ミーハーの実体」

なかなか実体をつかみにくいコトバ「ミーハー」。いわゆる大人たちへのミーハーについてのインタビューに対し、スタジオの若者たちが各自のミーハー論を展開する。音楽情報は一世風靡セピア。また今週は、根本さんが金フラディレクター三人を使い、スタジオでCFを作る。

 

上記放送リストは、当該回放送当日(1985年3月22日は朝刊休刊日のため前日)の朝刊ラ・テ欄をもとにしています。特番などで放送時間がずれた回については、その回の放送時間を放送年月日のあとのカッコ内に記しています。

【参考文献】

・『福島民報』朝刊各号(国立国会図書館東京本館所蔵マイクロフィルム

・『TUF10年のあゆみ』(1993年、テレビユー福島